日本国債の金利上昇の裏に中国マネーあり

中国による日本国債買い

中国は、3・11の翌四月、日本の中長期国債(二年以上)を1兆3301億円取得し、一億円処分し、差し引き1兆3300億円を買い越した。これは外国による日本の中長期国債の買い越し額全体の約83%を占め、約八%のフランス、約6%のシンガポ−ル、約五%の米国を圧倒した。

 

一方、同じ四月に、中国は日本の短期国債(一年以下)を2兆0679億円取得し3兆5366億円を処分し、差し引き一兆四六八七億円を売り越した。外国による短期国債の売買は総額で九三一五億円の買い越しであったから、中国による一兆円を超す売り越しは市場の流れに逆行するものであった。

 

中国による大津波のような日本国債の売買は、「市場では『中国はより高い利回りを求めて短期債から中長期債に乗り換えている』(日本の大手証券)との声が多い。五年債や二年債などの利回りが低めで推移している背景には、中国からの資金流入があるようだ」(『日本経済新聞』2011年6月9日)と評価された。

 

実際、日本の中長期国債の利回りは、震災直後あるいは国債の日銀直接引き受けが声高に唱えられた直後の四月中間初めにピークをつけた後、急速に低下した。こうした金利の低位安定つまり国債価格の高止まりに中国の巨額の買い越しがどれほど貢献しているかは不明であるが、中国が売り越しに転じるという見方が市場で広がれば、金利上昇の期待が高まり、国債管理は難しくなるだろう。「たとえ中国が中長期国債を一兆円以上買い越しても、600兆円を超える中長期国債の九四%は日本人が保有しているから問題ではない」と考えるのは早計である。

 

市場で価格を決定するのは、保有残高ではなく、売買状況である。たとえば外国人投資家は日本株の三割未満を保有しているだけだが、日本株の売買の七割以上を占めることで、日本株の価格形成に対し圧倒的な影響力を発揮している。今年五月の時点で、日本国債の現物の売買高総額から仲介業者であるディーラーによる売買を差し引いた「ネット」の売買において、外国人投資家は平均で買いの31%、売りの11%を占めている。とりわけ短期国庫証券は買いの46%を占めている。ちなみに、短期国庫証券の外国人保有比率は一年で7%ポイント上昇し今年三月には一七%となっている。さらに、国債の先物の取引は外国人が33%近くを占めており、先物オプションの取引となると56%以上が外国人によって占められている。こうして、外国人投資家は日本国債の価格、つまり金利への影響力を増している。そこに今回の震災後、中国が大きなプレイヤーとして参入してきたのである。